わたしのあたまのなか

わたしのあたまのなかの言葉を書きたい時に書く場所。好きな映画や海外ドラマの感想や、覚えておきたい出来事など。食べることが好きなのでおいしいものについてもよく書きます。

わたしたちの中学受験⑩(完) その後

前の話はこちら

zfinchyan.hatenablog.com

 

きみはどうする?

さて、先日、弟である息子(8)に、

「ところで、きみも中学受験をしたいかい?」と、尋ねてみた。

息子(8)は、ある意味一番近いところで、中学受験の大変さを目で見て肌で感じていたはずだ。

「うーん、お兄ちゃんは、がんばってたし自分もがんばってみたいけど… でもやっぱりしんどそうやから、今はやりたいとは思わへん。塾に行ったら、今やってる習い事も続けられへんし」と、率直に語ってくれた。

それで、正解だと思った。

挑戦するのは中学受験じゃなくても、他のことでもいい。

またいつか、息子(8)が自ら夢を持って「中学受験をしたい!」と、望んだ時には全力でサポートするが、そうでなければ中学受験をさせるつもりは、全くない。地元の公立中学校に進学した先で、いずれ高校受験を経験するのだろうし。

合格はゴールではなくスタートだと何回も言ってきたのに!

合格発表のあと、息子にこれから3週間は自分の好きなことをやるようにと言った。3年間がんばってきたのだから、思いっきり息抜きをすればいいと夫と話し合って決めたのだ。

放課後は遅くまで友人と遊び、夜は散々ゲームや漫画を読んでリラックスしていた。

そんな様子を見ていると「これが、本来の小学生の息子の姿なんだな」とも思った。

もちろん通塾中も、塾がない日の放課後は遊びに行っていたし、ゲームもして漫画も自由に読んでいたけれど、頭のどこかには塾の宿題を気にしていたはずだし、それが終わり何も追われずに遊ぶ姿からは「開放感」の3文字が満ち溢れていた。

が、3週間が過ぎたあとも、中学校からすでに出されている入学前課題(春休み中にする宿題)を見て見ぬふりをして、一向に手をつける気配がない。

こういう時、もしも息子が望まぬ中学校に行かせていたら「こんなところ行きたくなかったのに!こんなたくさんの宿題やりたくない!」などと言われているところだが(息子の性格上そう言うと思う)、そこは息子の選んだ中学校なので、あの時、別の中学校を受験させなくてよかったな、と、早くも思った。

どうやら春休み中にすればいいと思ってあぐらをかいているようだが、春休み中にやるには間に合わない量だから、それより前に課題を出されてるというのに!

今まで何度も「合格したら終わりじゃないで。ここからがスタートやで」と言ってきたが、なかなか伝わっていないようだ。何度も口うるさく声をかけたら、渋々テキストを開いていた。

今から心配事は山ほどあるが、中学受験で見せた息子の本気をわたしたちは知っている。

息子の心の中にあるはずのスイッチがいつか入ることを信じている。

(ダラダラする姿にはイライラするけど!)

中学受験は必要か不要か?

2022年の3月から2023年の3月までの1年間でかかった息子(11)の塾の費用は、約95万円だった。ということは、3年間だと合計…!?

どうりで、最近財布の中が心許ないはずである。

あの時、塾という選択をしていなかったら。

あの時、中学受験という選択をしていなかったら。

塾に行き出してから、お金に対する不安は増えるばかりだが、塾に行ったことで、結果的に、息子の視野や考え方は広がり、知識は深まり、社交的になり、自信がついて物怖じしない子どもになった。つまり、格段に成長したと思う。

あの時、息子の自尊心を踏みにじったCくんのことは到底許せないが、息子が塾に行くきっかけになったことは大きかった。

中学受験は必要か不要か、と問われたら、各家庭の環境や子どもの性格が影響する部分が大きいので一概には答えられないが、息子には合っていたとわたしは思う。

それに、わたしたちも共に勉強になったし、中学受験をしなければ知らないままだった世界を覗くことができた。

が、ここに書き残した以上にもちろんいろんなことはあり、心も体も疲れ果てた時期はあったし、塾に対する不信感を抱いた時期も、学校の担任から嫌味を言われたこともあった。

ただ、塾の中のテストで1位になり喜んだり、塾の先生にめちゃくちゃ褒められたり、かと思えば、点数が伸びなかったり、苦手なところを克服できなかったり、嬉しい思いも悔しい思いもたくさんしてきた息子が、夢中でしがみつき手を離さずに努力を続けた姿と、自分で選んだ道への第一歩を、心から誇りに思う。

中学受験をしたから、志望校に合格したからと言って、人生成功!とは思わない。これからの長い人生、息子自身にも家族にも大小様々な山も谷もあるだろう。

でも、ひとつの大きな成功体験をさせてあげられたことは、親としてよかったな、と今はただ純粋に思っている。

なにしろ、不安は募るが…

塾にかかった費用を計算したが、これから先の中学校でも何かとえらいこと費用がかかるはずである。

不安だ。

まあ、でも「なんとかなるわい」の精神で行くしかない。大人だから、親だから、なんとかするしかない。

息子は、これから自分で選んだ中学校という大海原に船を出し、自分の手でその世界とこれから自分が歩む道を照らしていくのだ。

そんな息子の不安に比べたら、わたしたちの不安など微々たるものに過ぎないだろうから。

 

色々書きましたが、これが、わたしたち家族が経験した息子の中学受験体験記「わたしたちの中学受験」でした。